(研究ノート)地方からみた救護法の制定~鳥取県を例に~
小池 桂
本稿は鳥取県を例にして、救護法制定過程における県と村(東伯郡下北條村)の動向を明らかにしたものである。県では救護法の制定は歓迎すべき出来事であったが、村レベルで見てみるとその救護費への支出や救護件数は従前並みであった。この理由として折りからの不況と重なって村の財政が逼迫していたことと、「隣保相扶」の強さゆえ救済を避ける傾向があったことを指摘した。救護法は通説が示唆してきた通り明治期の救貧体制から脱しきれず、それは村から見ても同様であったと考えられる。
社会福祉学部論集
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