戦時下鳥取県における方面委員に関する一考察
小池桂
本稿は戦時下鳥取において方面委員がどのように戦時体制に迎合し、その中でいかなる役割が期待されたのかを明らかにしたものである。方面委員に求められたものは、第1に天皇制国家の担い手としての自覚であり、第2に福祉対象者の輔導者としての役割であり、第3に隣保相扶の美風を醸成することであった。こうした中で方面委員は社会的認知度を高めていった。ただし自律的な福祉従事者集団として認知されたかといえばそうではなかった。その理由は方面委員がその存立根拠を天皇に求めたこと、そして客観的な援助論を欠いていたことがあげられる。
社会福祉学部論集
佛教大学
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