症例は80歳代前半女性で、約20年前にパーキンソン病(PD)を発症した。4ヵ月前に尿路感染からの敗血症ショックと診断され、全身状態改善するも廃用により寝たきり状態となった。夫が高齢であるため、3ヵ月前に長期療養目的で当院へ入院した。身体機能面では体幹・肩関節伸展・股関節伸展に制限と下肢筋力の低下を認めた。パーキンソン症状としては姿勢反射障害・無動を認め、無動に関しては日内差を認めた。作業歴からは、裁縫などの手芸を行うことで自分自身の生活に役立て、それを通じて取り組み時および完成時の楽しみを見出し、さらに生活への意欲を見出していたと捉えられた。裁縫に関する会話時の反応からも潜在的な意欲は保たれていると判断されたため、裁縫ができる体験を継続することで目標の再獲得が期待できると考えられた。PDの症状やその進行に注意しつつ、本人の望む裁縫の実施や作品を使用した生活が送れるよう支援することとした。その結果、認知面ではMMSEは20点(維持)、HDS-Rは18点(2点減)、心理面ではGDSは8点(2点改善)、生活満足度指標は16点(3点向上)となった。ADL面では端坐位が60分程度可能となった(40分向上)。思い入れのある活動の再獲得に至り、主体性も向上した。