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基本情報
阿英(銭杏邨)編『晩清文学叢鈔』は1960年から62年にかけて中華書局より出版された叢書である。これは、阿英が長年かけて手元に集めた“晩清に書かれた通俗文学の作品群”を、ある程度まとまった形で紹介しようとした、当時としては画期的な出版物であった。なぜならば、当シリーズの登場によってほぼはじめて、晩清中国における通俗文学の全体的な具体像が世に知られることとなったからである。本叢書は作品群を小説巻・伝奇雑劇巻・説唱文学巻・小説戯曲研究巻・域外文学訳文巻・俄羅斯文学訳文巻の6ジャンルに分類するが、小論は中でも“小説巻”に注目した。そして、「英雄造時勢」という、近代中国に流行した定型的フレーズが、各作品中においてどのように出現しているかを分析し、結果を数量的に提示したものである。 |