宋代より本格的に始まる海上貿易の管理業務は,都市において如何に施行され,また都市に何をもたらすのか。本稿では市舶務の設置された明州に視点を下して検討する。その結果,明州における貿易業務は,海商との交流・遮断を巧みに利用して運用されており,またそれに応じた都市空間の編成がなされていたことがわかる。 こうした都市における貿易管理業務は,城内外で大きく区分され,城外では物資を扱う課税・先行買付が行われ,城内では公憑発給などの文書行政が行われていた。また海商の来着時には城内外を繋ぐ道が封鎖され,寄り道できず直接