棺槨形舎利容器と則天武后——金棺銀槨の創始と流布
大西磨希子
2022年度佛教史學會学術大会大会シンポジウム
佛教史學會
龍谷大学 大宮学舎 東黌101
棺槨形舎利容器とは、葬具である棺槨を模した中国特有の舎利容器である。この形式の舎利容器は、高宗の顕慶五年、法門寺の真身舎利を迎えるために則天武后が造らせた「金棺銀槨」に始まると考えられている。一方、現存最古の遺品は延載元年の涇川大雲寺舎利容器である。この間の事情は杳として知れないが、それ以降は中国各地で棺槨形舎利容器が発見されており全土に普及したことが確認できるが、その背景は不明である。そこで本報告では、まず文献上の初見である『集神州三宝感通録』の記事を再検討したうえで、槨形舎利容器の全国的流布において儀鳳年間に則天武后が主導して実施された舎利頒布事業に注目する。