近年の気候変動により猛暑日には熱中症対策として、子どもが屋外での体育や外遊び、部活動を中止または軽減すること、積極的に水分・塩分を補給することが推奨されている(文部科学省,2021)。水分代謝バランスを保つことは、成長期にある子どもの健康維持において極めて重要である。しかし、子どもに必要な水分摂取量は明らかにされていない。子どもに適切な水分摂取量を求めるためには、水の代謝回転量(1日あたりに入れ替わる水分量,Water Turnover: WT)を決定する予測因子や推定式を構築する必要がある。WTは、体内で交換される水の量を示す指標であり、正確な測定には二重標識水法(Doubly Labeled Water: DLW)が用いられる。本研究では、DLW法を用いて異なる季節の子どものWTを含め、適切な水分摂取量を明らかにすることを目的とする。さらに、季節や身体活動の変動がWTに与える影響を分析し、子どもたちにとって最適な水分摂取ガイドラインの策定を目指す。