2021年度は、以下の4つの班に分かれて、共通の分析枠の構築を図った。
1.「共和政と君主政の乖離」班は、中東欧・仏米における「王のいる共和政」論の検証を行うための分析枠を検討した。まず石川敬史は独立革命期に存在したアメリカ政体論を検証し、小山哲と中澤達哉は米仏との相互影響を踏まえ、中東欧における「王のいる共和政」から「王のいない共和政」への移行過程を検討した。正木慶介は、上述の双方の共和主義の要素をもつ立憲君主政の実態を分析した。その上で共通の分析枠や視点の構築に努めた。
2.「共和政と民主政との連動」班は、共和政が民主政と連動する過程を市民権および人民主権の動態から分析するための主軸を検討した。松原宏之は独立革命後も主導権を保持した名望家に代わり新たに新興実業家が上昇し徒弟が労働者化するという社会変動にあわせ、アメリカで市民権と共和政が再定義される過程に焦点を当てることにした。高澤紀恵と近藤和彦はソシアビリテから市民権と人民主権の動態を検証し、フランスおよびイングランド共和政の思想と実態を社会史的文脈から検証することを軸に分析枠を構築することに努めた。
3.「共和政と国民国家との結節」班は、1990年代以来、構築主義による国民国家批判を通じて国民の創造に関する研究が蓄積されてきた状況を受けつつも、「王のいる共和政」から「王のいない共和政」への構造転換と国民国家との関係を権利関係の再編から論じる方法の構築に努めた。小原淳と小森宏美は国民形成の観点から、中澤は民族集団の構築における社団の機能からこれを検討することになった。
4.「共和政と連邦制の親和」班は、池田嘉郎と森原隆を中心に、近世に複合国家編成を採った地域の近代に「王のいる共和政」論が集中的に出現し、連邦共和国を志向したという事実に基づき、議会主義の観点からこれを分析する方法を検討した。