本研究の3年度目にあたる2019年度は、年度末におけるコロナウィルスの流行と感染防止を目的とした研究計画の見直しから、年度末に予定されていた研究成果公開を目的としたワークショップを2020年度の補助事業として延期するなどの対応を図りながら実施された。2019年度の研究活動の主軸は、初年度と二年度における本研究の研究成果の中間報告を目的に、国内の歴史学界に対してその成果を公開することに置かれた。まず2019年5月26日に開催された2019年度歴史学研究会大会合同シンポジウム「「主権国家」再考Part2―翻訳される主権」の実施に協力し、①近世から近代へ、②ヨーロッパからアジアへという二つの軸に即しながら、近世ヨーロッパで錬成された「主権」概念の翻訳と拡散の過程に注目することで、世界史的な観点から「主権」概念の批判的再構築を図る糸口を見いだした。次に2019年11月16日には早稲田大学において公開研究会「「主権国家再考」の再考」を、さらに本来であれば2020年3月21-22日に島根大学で開催を予定していた公開ワークショップ「歴史的ヨーロッパにおける主権概念の批判的再構築」については、2020年6月21日にオンライン形式に実施方法を変更して開催した。これら二度の公開研究会・ワークショップにおいては、本研究に参画する研究分担者から、近世ヨーロッパにおける複合的な政治編成の存在を前提とした場合、従来の「主権」概念理解をその実態に即して相対化する個々の史料分析とその方法の提示がなされた。これらの研究成果の中間報告とは別に、2019年12月27日-28日には水戸にて研究合宿が開催され、5月に開催されたシンポジウムと11月の公開研究会で得られた国内の研究者からの意見を踏まえた本研究の方向性の再検討が議論され、これを踏まえる形で研究分担者個々の研究を包括する本研究の方針が分担者間で共有された。