本研究は、中国の台頭、世界の多極化などの21世紀の世界政治の変動を長期の文明史に位置付け、総体的な世界認識の枠組みを提示することを目指してきた。4年間の学際研究を通じ、(1)前近代における自己中心的普遍主義を有する文明圏の併存から近代の欧米中心的な主権国家体制の世界的確立という 「文際的視点」から世界史を捉える方法の有効性と限界、(2)欧米中心的認識が地球化する過程における人々の重層的な帰属意識の変容、その多層的な交錯が検討された。そのことを通じ、「国家」「文明」「アジア」「イスラーム」など実体化されやすい概念を相対化し、「国家・民族・宗教・文明」の「対立」という発想を克服する途を展望した。