本研究は、日本の大学におけるグローバル化のディスコースを検証するために、国際化された教育で名を馳せている2校の大学(国際教養大学(AIU)と立命館アジア太平洋大学(APU))の英文大学案内を分析する。その際に本研究が援用する理論的枠組みは、批判的ディスコース分析(critical discourse analysis
CDA)である。さらに、分析対象とする英文大学案内は、言語的要素と非言語的要素が混ざり合ったマルチもダルな(multimodal)ディスコースである。そこで、本研究は、視覚デザインを分析するために、社会記号論(social semiotics)(Kress and van Leeuwen 2006)を援用する。本研究は、これらの理論的枠組みに基いて、社会的行為者(van Leeuwen 2008)、過程タイプ(Halliday 1994;フェアクラフ2012)、前提などの言語的特徴、およびレイアウトや写真などの非言語的特徴を分析することにより、英文大学案内という教育ディスコースにおいて「国際化」がいかに表象されているかを検討する。結果として、AIUとAPUが、それぞれの大学の特性や何を推奨しているかという点に応じて、異なる方法で「国際化」を表象しているということを主張する。