戦前期における社会事業の展開
細井勇 池本美和子 田中和男 田中亜紀子 佐々木光郎 杉山博昭 今井小の実 小池桂 元村智明
本稿は大正期に成立した社会事業の下で、それが地方都市鳥取においていかなる展開をみせたのか、という点を明らかにしたものである。まず鳥取市では低水準の救貧行政が中心であったことを指摘し、次に1918年の米騒動の勃発以降、行旅病人を中心に救貧策が展開されたことを明らかにした。しかしそれは負の表象としての行旅病人を隔離するためであり、当時言われたような「人道ノ上」からではなく、社会的排除論でいう貧民の周縁化に他ならなかったことを指摘した。(P190~P215)
第八章「大正期鳥取市における貧民対策」
190~215
社会福祉形成史研究会