菅原道真「余近叙詩情怨一篇、呈菅十一著作郎長句二首、偶然見酬更依本韻、重答以謝」(『菅家文草』119ー2)注釈
土佐朋子
『菅家文草』所収の藤原道真詩について、注釈を施した。渤海大使である裴頲に「禮部侍郎、得白氏之體」と評価されたことを「偽り」だとする道真の屈折した心境には、己の急激な出世に対して向けられる嫉妬への嫌悪が影響している。そのような妬みや嫉みが渦巻く世間を「俗」だとし、それにとらわれない自身の生と全うしようとするが動揺する道真の心境が詠出された作品である。
早稲田大学日本古典籍研究所年報
早稲田大学日本古典籍研究所
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