世界で最初の原爆投下から80年を迎えようとしている現在、被爆者から直接被爆の証言を聞く機会は少なくなっている。また、小中高での平和学習の機会が減少しており、戦争や原爆の被害、戦争加害について知ることなく大学に入学してくる学生も多い。
本稿では、原爆や原爆被害に関する虚構を取り上げ、ソーシャルワークのグローバル定義のキーワードから社会正義、社会的結束、人権などで整理した。さらに、学生が主体となって行っている原爆展や卒業生が作成した創作絵本や紙芝居などを用いた地域の平和活動を例に挙げ、被爆者の証言を企画運営している原爆被害者相談員の会の医療ソーシャルワーカーの活動に参加することによって社会福祉学専攻の学生が平和を創り出すアウトプットの力が形成されていくことが示された。