目的:被災地の看護系大学の看護学生が、災害ボランティア活動に継続して参加した体験から得られた学びのプロセスを明らかにする。
方法:被災地の看護系大学の看護学生で災害ボランティア活動を継続して行っている11名に、フォーカスグループインタビュー調査を実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。
結果:看護学生は、〈災害は自分たちとは無縁〉であるという【3人称2次元感覚フェーズ】から、自分たちが【被災という1人称体験フェーズ】の中で、〈助けたり、助けられたり〉という【1人称と2人称の交互体験フェーズ】を経て、地域の被災者である【身近な2人称へ思いが動くフェーズ】へと移行する。災害ボランティア活動で、〈被災者の思いに踏み込めない〉と不安になる看護学生も、〈思いのたけを話してくださる被災者〉に励まされ、健康支援の〈経験の価値を実感する〉という、大学の【学修と実践が循環していくフェーズ】に移行していた。そして、〈立場を超えてつながる〉人々との体験を加え、〈将来の看護師像が描けるようになる〉のであった。被災者との継続したコミュニケーションから、1人称と2人称の間をやわらかく行き来できる、「1.5人称の態度(姿勢)」を得ていた。さらに、〈看護学生のまなざし〉から、医療者として1人称の立場に立ちつつも2人称である患者に寄り添い、信頼関係を構築していく「1.5人称の看護」について学んでいた。
結論:看護学生は、大学での学びと災害ボランティア活動の経験をリンクさせながら、被災者支援のあり方を学ぶ経験をしていた。さらに、自身の被災体験と被災者との継続した関わりから「1.5人称の態度(姿勢)」を得て、看護学生のまなざしをもち「1.5人称の看護」を学んでいた。