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基本情報
本研究は、地域における観光の活用が、観光そのものではないものも含む、実態的で持続的な地域社会の再生につながるにはどのような行動様式による取り組みが有効か、事例に基づき考察するものである。事例として、2018年の日本遺産認定の前後から移住者や起業者が増加しまちに新たな活気が生まれている富山県南砺市井波での取り組みに注目し、その変革の中心的役割を担った若手リーダー・島田優平氏のナラティブ・データを中心にまちづくり活動のプロセスを分析する。文化庁主管の制度である日本遺産がどのように地域社会の再生へと展開しえたのか。その行動様式を分析する論理として、優れた起業家への意思決定実験から発見された思考・行動様式であるエフェクチュエーションを用い、島田氏の考え方や行動がいかにしてさまざまな立場の人々の自発的なコミットメントを促し、地域の可能性を広げることになったのかを明らかにする。その結果、日本遺産という観光を活用したまちづくりの取り組みにおけるエフェクチュアルな行動が地域の人々の参画を促し、可能性を広げ、実態的で持続的な地域社会の再生につながったことが確認された。 |