OECDは
障害者
ひとり親など社会生活を送るうえでリスクのある人々に対する社会政策を
所得補助による補償中心のアプローチから労働市場への参加を促進するアプローチに転換し
「福祉から労働へ」と「労働における福祉」の同時進行を推進する.日本も同様だが
「労働における福祉」は不十分であり
特に事業所に採用された後に精神障害者となった者
すなわち「採用後精神障害者」に関する政策に顕著である.精神障害者の労働施策は
「障害者雇用」の枠組みで急増している.しかし
77.2%の企業で
精神疾患による1か月以上の休業者がおり
56.1%の企業で
近年3年間に精神疾患が増加傾向という.このなかで
採用後精神障害者は
一般の労働者を対象とした労働政策と障害者雇用政策の谷間にある.本論文は
採用後精神障害者問題を切り口に
新しい障害者観に基づく政策の必要性および労働政策と障害者雇用政策と同時改革の必要性を論じる.