2021年度は施設に入所している認知症高齢者の全般的認知機能,見当識,記憶,視空間認知機能の維持改善効果について,マルチモーダル非薬物的介入を用いた予備的研究をシングルケースABデザインで検証した.介入の内容は運動と認知訓練と日常生活活動実践を組み合わせたものであり,研究協力施設の作業療法士または理学療法士が実施した.非介入期間2か月,介入期間2か月として,3名の対象者に対して開始し,2021年度は2名の対象者の研究が完了している.2名の全般的認知機能,記憶,視空間認知機能は維持および改善が窺われ,第2アウトカムとしていた行動心理症状や日常生活活動能力,認知症重症度についても維持・改善が窺われた.マルチモーダル非薬物的介入は認知症高齢者の重症化予防に期待できると思われた.1名は現在介入中であり,間もなく完了する予定である.本研究は認知症のタイプの中でも最も多いアルツハイマー型認知症とアルツハイマー型認知症の疑いがある認知症高齢者を対象としており,焦点を当てている特定の認知機能もアルツハイマー型認知症に特徴的な認知機能低下に合わせた内容(見当識,記憶,視空間認知機能)としている.本研究によりマルチモーダル非薬物的介入の効果が実証できれば,より多くの認知症高齢者に対する認知症重度化予防に繋がることが期待できると思われ,介入とその効果の検証を継続していく事には意義があると思われる.
今後の予定として,2022年度は予備的研究が完了するため,次の段階として2022年7月を目途に2群での無作為化比較試験を予定している.