2001年〜2010年の間に習慣性膝蓋骨脱臼に対して内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)再建術を施行した7例8膝(男性3膝、女性5膝、手術時年齢11〜57歳、平均年齢21.8歳、平均経過観察期間5.3年)を対象にMPFL再建の問題点と習慣性膝蓋骨脱臼の病態について検討した。手術は自家半腱様筋腱を二重折にして大腿骨と脛骨に骨孔を作成してENDOBUTTONにて固定した。後療法としては2週間の膝装具固定後に可動域訓練を開始して、術後4週後に全荷重歩行を許可した。その結果、1)術後経過観察中に8膝中6膝で術後8ヵ月以内に再脱臼していた。うち1膝は外傷を認めたが、5膝は明らかな外傷は認めず、6膝中5膝に再手術が施行されていた。2)再脱臼例と経過良好例との比較では各検討項目に有意差はみられなかったが、Tibial-Tubercle Trochlear-Groove(TT-TG) distanceは再脱臼例の方が大きい傾向であった。3)各症例ごとの検討では、外傷以外で再脱臼した5膝中4膝でTT-TG distanceが25mm以上であった。以上より、骨端線閉鎖後の習慣性膝蓋骨脱臼に対してはMPFL再建術のみでは対応できない症例が多く、外側広筋を含む広範な外側支帯の切離は必須で、症例によっては頸骨粗面移動術が必要と考えられた。