日中古代の「日記」の比較-『御堂関白記』と秦漢時期の「日記」を例として-
西川利文
日本佛教大学・中国社会科学院文学研究所学術交流協定締結紀念国際シンポジウムⅠ(北京会議) 「グローバル化時代における人文学研究の諸相-現代における日中・東西の相互啓発のために」
中国社会科学院文学研究所、佛教大学
北京・鑫海錦江大酒店
本報告では、日記といっても文学性を帯びたものではなく、古代の人々が実際に 記した現物=自筆本の「日記」を分析の対象とした。 この「日記」は多くの場合、暦(具注暦)に記される。そこで本報告では、日中に おける実際の「日記」の事例を取り上げつつ、その記載内容よりも、なぜ暦(具 注暦)に記されるのかに重点を置いた。その結果、当時の「日記」文化の基底に は、暦によって日々の吉凶を占うという、古くから中国に存在した「術数文化」 の影響があることを明らかにした。