27日間だけ皇帝だった男の生涯-出土文物から見る前漢後半期政治史の一断面-
西川利文
青史会総会
近年発掘された海昏侯・劉賀墓を手がかりに、文献史料で「淫乱」と表現され、それ故に27日間で皇帝を廃位された劉賀の生涯を振り返るとともに、出土資料からは「淫乱」とされるような痕跡は見つからず、かえって当時の標準的な政治家の姿が見えてくる。そこから当時権力を握っていた霍光との政治的主導権をめぐる争いの中で、廃位に追い込まれたのではないか、その後に即位した宣帝は劉賀の失敗を見て、霍光およびその一族に対応したのではないか、などを指摘した。