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Basic information
梁啓超の『国民浅訓』は1916年5月に商務印書館より発行された。袁世凱における帝政の動きに反対する梁は、1915年末に南下し、蔡鍔らを助けて護国軍の組織に参画した。各地に反袁の起義が伝播し、成功していく中、16年3月末、同運動のため広西に転じていた梁は現地で熱病にかかり、回復後、わずか三日でこの『国民浅訓』を書き上げた(自序)。袁世凱は本書が出版された翌月、1916年6月6日に死去した。本書の中には、梁啓超の脳裏にあった「すぐれた国民」において必要な知識と必須の態度とが十三章にわたって述べられている。小論は上記の内容を紹介し、梁における「国民改造論」の系譜に位置づけると同時に、戦場に居り、しかも病から回復したばかりであった梁啓超が、大至急同書を書き上げ、これを上梓した理由についても考察を試みたものである。 |