ティール組織の導入はなにをもたらすかー「HOLIS 式ティール組織」を事例に
若林靖永, 山川賢記
「ティール組織」は,マネジャーがいない,全員参加型の組織である。本稿では,ティール組織が従業員に対しどのような影響を与えるのか,を明らかにするために,HOLIS 株式会社による「HOLIS 式ティール組織」導入事例について調査した。4部門8 名の従業員インタビュー等により,以下のことが明らかとなった。(1)ティール組織の導入により,従業員は以前より積極的に提案助言するようになった反面,事業全体の成長に関わるような提案があまり出ないという意見もあった。 (2)上司と部下,命令する人と命令される人との関係がなくなり,個人として互いに尊重して協力するチームワークが生まれている。 (3)プロフィットファーストによる事業経費口座残高の導入は,従業員にとってきわめて分かりやすく,従業員の主体的な行動を促進する効果があった。長期的な視点にたってみた問題,新たな事業開発等の問題についての克服については,今後の残された研究課題である。
社会学部論集
佛教大学
81
0918-9424
2434-9623