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基本情報
本稿では,肢体不自由特別支援学校であるA養護学校の1960年代から2000年代までの研究年報「研究のあゆみ」の分析を通して,重い障害のある子どもを学校教育にいかに「参加」させようとしてきたかについて検討した。障害者権利条約の日本審査で日本の障害児教育は「隔離的特別教育」として批判の中心となっており,本格的なインクルーシブ教育への移行が急がれるが,そのためには従来の通常教育のパラダイム転換が必要となる。養護学校全入の過程において,当時例外的な子どもを受け入れることとなった教師や学校は,戸惑いを抱えつつ実践知を積み上げ,そこに,A養護学校の子どもたちにとって必要な理論知を取捨選択することで,独自の教育の在りよう(ペダゴジー)を形成していった。これからの学校教育がインクルーシブなものになるためには,そうしたペダゴジカルな戦略に基づく学校文化の創造が重要である。 |