宋朝の朝貢と貿易
本論は宋朝における朝貢の事例を概観したうえで,大中祥符二年以降から朝貢品に対して,その価格を判定し,その価格に見合う(あるいは上乗せした)回賜が行われるようになったことを明らかにする。この変化は,唐代で見られた儀礼行為としての朝貢―回賜が,対価に対する支払いの要素を持つ貿易行為への移行を意味した。また朝貢―回賜が貿易行為へと変化するに伴い,朝貢―回賜の行われる場所が国境付近の辺境都市でも担われるようになり,南宋期になると,一時期を除いて,朝貢―回賜は辺境都市で済まされるようになった。
佛教大学『歴史学部論集』
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