本共同研究では、歴史のなかの「記憶」とその形象化(「記録」やモニュメントの成立、顕彰行為、記念行事の開催など)にかかわる諸問題を領域横断的に比較検討することをめざして、各メンバーがそれぞれの分担領域において研究調査を進めてきた。これと並行して、毎年度、複数のメンバーによる実地踏査を行い、また、複数回の研究会を開催して各自の研究の進捗状況を報告し、メンバー間で議論を重ねてきた。これらの研究会の一部は、関連する分野を研究する海外の研究者との意見交換を行なうために国際ワークショップとして実施した(平成14年度に12回、平成15年度に1回)。
すでにこれらの共同研究の成果の一部は本研究の参加者が個別に発表した著書や雑誌掲載論文として発表されているが、最終的な研究成果として、以下のような構成の報告書を作成した。
はしがき(小山哲)/鎌倉時代末期浄土宗美術における対立の『記憶』(大原嘉豊)/明治維新と古代文化の復興(高木博志)/ディズレイリの記憶とプリムローズ(小関隆)/痕跡衝動の近代-ある<記憶>と<記録>のかたち(森本淳生)/匪賊の記憶、義賊の記憶(伊藤順二)/記憶と記録の近代日本言語学(安田敏朗)/フランスから来た「日本」(高階絵里加)/距離感-民俗写真家・芳賀日出男の軌跡と方法(菊池暁)/ネルソンの遺髪(井野瀬久美恵)/記憶のイマージュの彼方へ-「マウトハウゼン」の過去、現在、未来(水野博子)/第二次世界大戦期フランスの「強制収容所」とユダヤ人迫害の「再記憶化」(加藤克夫)/「人間天皇」の写真と表象(北原恵)/異界から:グスタフ・ヘルリング=グリジンスキのソ連強制収容所体験記を読む(小山哲)