近年、急速に進展したデジタル化やアーカイブ化技術は、歴史資料をデータベース化し公開することを促した。しかし、これらの整備された大量のデータを利用するための技術や方法論が追いついておらず、特に歴史学において膨大な量の資料を電算的にあつかう技術と方法を提示することが急務と考える。そこで、本研究では、計量地理学や地理情報システムの分野で開発された、空間的補間の方法を時空間にまで拡張し、さまざまな地点・時点における人文・社会現象を再現する。歴史時代を対象に、現代的な人文・社会科学的分析を施すことにより、それぞれの時代を多面的に復原し分析することが、この研究の目的である。この視点は、近年注目されはじめたHistorical GISのフレームワークに位置づけられる。本研究ではその例証として、歴史資料が多く現存する近世期の京都を対象として分析を進める。