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Basic information
Hideo Kobayashi "On Impermanence" Reconsidered - The Subjectivity of "Reminiscence" and a "Nonchalant" Image of History
小林秀雄の「思ひ出」す歴史認識のあり方について、前稿とは別の角度からの検討を試みた。小林秀雄に多大な影響を与えたと見られるR・シュタイナーによる認識論では、「思考」の自律的作用が、当初は無秩序だった知覚映像を一つの有機的に統一された世界像に構成する際に、一定の時間経過が必要だとされている。その認識論のアウトラインが、あたかもシュタイナーの論に詳細に注釈を施したかのような観を呈する、E・フッサールの著作、とりわけ『デカルト的省察』にほぼ踏襲されている様相を検証した。さらにそれらを、昭和十年代以降の小林秀雄の歴史認識の姿勢、すなわち「己れを空しく」して「思ひ出」すことによって、「解釈を拒絶して動じない」歴史の姿をとらえようとする姿勢が踏襲しているであろう事実を、検証した。 |