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Basic information
Direct Understanding of "Motoori Norinaga" - Kobayashi Hideo's Phenomenological Experiment and the Crisis of Modern Studies
小林秀雄はみずからの批評思想に合致する思想をもつ思索者として本居宣長という国学者を発見し、批評対象に選んでいる。「直知」「思ひ出」「無私」といった独自の用語は論理を超越した批評姿勢を示しているかの観があるが、実際には、エトムント・フッサールの『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(一九三六年)をはじめとする、西欧思想史上に独自の地位をもつ著作から強い影響を受けたものである。小林の意図は、フッサール現象学に言うところの「現象学的還元」の方法をすでに実現していたかのような個性をもつ本居宣長という日本の古典的思想家が見せた認識姿勢を、宣長が実践した、いわば「現象学的還元」の方法で論ずるという、きわめて挑戦的な試みであり、実験であった。 |